「桐島、部活やめるってよ」を今さら紹介②【キャラクター紹介①沙奈(松岡茉優)】 映画、舞台の脚本家演出家を目指す君へ②
ヒエラルキーの戦士 沙奈
今回は前回の引継ぎ桐島特集!
今回はヒエラルキーの戦士、沙奈を語ります!!
前回の続きなんで、話の流れがわからい方は
前章を見てね
目次
沙奈とは
怖い顔してますねー(笑)このヒエラルキーの中で戦い続ける彼女。
彼女はこの物語の象徴である。
なので1人目に紹介したい!!
主人公は前田じゃないの?
そう。主人公は前田(神木隆之介)。映画的にはそう作ってる
(あくまで彼と桐島及び、宏樹との対比が世界観を作り上げているから、アプローチとしてはめちゃめちゃ正しい。彼が映画部であるが故にクライマックスは盛り上がるので作りは全く問題ない)
しかし、そこが一部の人間に桐島が認められない要因でもある。
前田に一切、共感出来ないならば沙奈を見よう。
沙奈を通してまず、この世界を覗くと
ちょっと見やすくなる
なぜなら彼女のような人間がこの世界で最も多いからだ。
ヒエラルキーの中で戦い、常に自分のポジションを意識している。
ほとんどの人間は彼女でしょう。
別に彼女のような人間を否定するわけではありません(笑)
むしろごく自然な生き方だ。
誰だって人の上に立ちたい。人に馬鹿にされたくない。羨ましいと思われたい。
誰だってそうでしょ。でも、そうあるためには戦わなければいけない。
その象徴が沙奈。
ヒエラルキーのトップへ、伸し上がる
陰キャラ
って言われたくないよねー。でも陰キャラの逆の言葉って何?
陽キャラ?イケてる系?中心?
厳密にないだろう。
※ただここでは、わかりやすいので陽キャラと書く。
なぜなら陰キャラを定義することでしか
陽キャラは生まれないからである。
そんなことない!結局は容姿とか才能でしょ?
ホントにそうですか?ホントに陰キャラと呼ばれていた人たちは
ブサイクポンコツ集団、でしたか?
逆に陽キャラは容姿端麗で天才の集団でしたか?
きっと違いますよ・・・よく思い出してください。
それは陽キャラ集団の一部だけですよ
モテるかどうか、才能があるかは関係ない!!
要は戦ったかどうか!
誰かを蹴落として、自分を上げる、それしかないのだよ!!!
なぜなら、ほとんどの人間は凡人だからだ!
ではどう戦うのか
陽キャラに定義はない。だから答えはない。
ただ、陰キャラの定義もない。
だからゲロ吐きそうな空間なのだ
沙奈はどうでしょう。
彼女には凡人における陽キャラになるための挑戦を表現する
3つの要素が描かれている。
「ボスへの忠誠」「威嚇的な態度」「帰宅部」である。
ボスへの忠誠
沙奈はボスに取り入る。決して否定しない。
容姿も特別ではない。何か才能に優れているわけではない。
だからボスに取り入る。
こういう人間は多いのではないですか。
ほとんど人間は運動や芸術のセンスは並である。
ってゆうかほとんどの人がこうじゃないと、もはや並とは言わない(笑)
じゃあどうするか
ここが陰キャラと陽キャラの分かれ道
ボスの右腕が1番の近道だということを沙奈はわかっている。
この集団のボスは山本美月演じる梨紗
最高のキャスティングである。まず日本人離れした綺麗さ。
なにより、ヒエラルキーの頂点に立つ桐島の彼女
彼女がボスなのは言うまでもない。物語の中で全員が彼女に気を遣っているからだ。
沙奈はボスに対して一貫してYESマン
いつも一緒にいるし、「ボスのことを気にかけている」っていうことをボスの前で
アピールしている。
ボスから見放されないことに必死。
だからボスの彼氏の失踪に誰よりも右往左往した。
彼女からすれば、それはボスを気にするというよりは、
自分の身を心配しているのだ。
自分が頂点だと信じる世界のボス(ここでは桐島)がその高台から降りた。
しかも、何の理由もなく。
彼女は自分の身を守るため、ヒエラルキーが崩れないように必死に動いたのだ
時より、ボスとの関係にストレスを感じている顔をする
嫌なら、一緒にいなければいい。でもそうはいかない。
そうすれば陰キャラになってしまうからだ!!
自分の立場を沙奈はよくわかっている
ボスと心中する以外に道はないのだ!!!
威嚇的な態度
自分の意図に逆らう人間は許さない。
許すわけにはいかない。
なぜなら、相手を攻撃し、自分の意志(ボスの意志)が正しいことを常に証明する必要があるからだ。
そうしなければ、自分と陰キャラが同じ位になってしまう。
威嚇してでも、相手の立ち位置を下げるのだ!
しかし、自分の正しさの証明を裏付けできるよなものは何もない。
前述したように、裏付けできる説得力も彼女にはない。
何も持っていないからだ。
ではどうするか
攻撃するしかない
この顔はなんと同じグループの実花にぶつけている
ボス以外は全員がターゲット
前述したようにボスに忠誠を使う彼女。
ボスの右腕になるためにはボスと同じレベルまで自分を引き上げる必要がある。
そうしなければ、ボスに見捨てられてしまう
だから戦い続ける。
終盤の宏樹(彼氏)とのキスシーンは圧巻
あれこそが彼女の生き方を体現している。
宏樹に恋心を抱く沢島
沙奈は決して許さない
沢島の目の前で濃厚なディープキス
沢島が奏でるサックスとのコントラストが素晴らしい
あのシーンにおける2人と宏樹の距離こそ、
戦いの差なのである
戦った沙奈は宏樹(桐島の親友)を手に入れ
戦わず、見ているだけの沢島はただ見ているだけなのだ。
帰宅部
勘違いしないでほしいのは、
帰宅部はこういう人間だって言う偏見を言いたいわけではありません(笑)
設定の妙を伝えたいのです。
作り手は意識的に彼女とボスを帰宅部の設定にしている。
沙奈が属する組織はクラスのみ(少なくとも劇中では)
にすることによって、沙奈が過度に前述で説明したポイントに
固執することにリアリティを持たせている。
あくまで沙奈にとってのボスは梨紗のみにする
そうすることで短い時間で存分に描き切っている。
まとめ
どうでしょうか。
決して、学校空間だけの映画ではないでしょう。
こんな戦いを今まさにしていませんか。
もしくは、もう諦めましたか。
沙奈の言動と行動をよく見てください。多くの人が何か感じるはず。
沙奈を見ていて怖っ!って思う人も多いと思います。
それはあなたが沙奈のような人間に邪魔をされた過去がある
もしくは、沙奈のような行為を自分がしていたことを後悔している
ということでしょう。
一部、桐島を面白くないという人は
もしかしたら、沙奈がリアルすぎて気持ち悪くなっちゃったのかもしれませんね(笑)
どの組織でも多くの人はまず沙奈を目指す。
そして、沙奈を目指した人間は一生戦い続ける必要がある。
常に2番手だからである。
1番手を目指さないんじゃない。目指してはいけないのだ。
そんな器じゃないからね。
なったところですぐ淘汰されるだろう
だから、なったとしても攻撃するしかないのさ
ほら、組織にいる属している人間なら、何か感じませんか。
沙奈はこの世界の象徴であり、闇でもあり、持たざる者の希望でもある。
決して悪人ではない
この映画を見た人はまず、沙奈と向き合わなければいけない。
まず沙奈というリアリティを体中に染み込ませてください
そうすることで
実質的な主人公である
前田と宏樹が物語のどこに向かっているかが見えてきます。
それでは!!
シュワッチ!!